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九州電力、初となる米国からの長期LNG購入契約をエナジー・トランスファー社と締結

出版物名
ジェトロビジネス短信
作成日/開催日
2025/6/2

九州電力と米国のエナジー・トランスファー(本社:テキサス州ダラス)は5月29日、エナジー・トランスファーがルイジアナ州レークチャールズで進める液化天然ガス(LNG)プロジェクトから生産されるLNGの売買契約(SPA)を締結することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

これは九州電力にとって初となる米国からの長期LNG購入契約だ。エナジー・トランスファーは、同プロジェクトが最終投資決定(FID)に至ることを条件に、プロジェクトから生産されるLNGを20年間にわたり、年間で最大100万トンを九州電力に供給する。売り渡し条件は、仕向け地制限のないFOB(本船渡し)となっており、九州電力側で受け入れ時期の調整や、他社への販売が可能となっている。

同プロジェクトは、エナジー・トランスファーの既存のLNG輸入・再ガス化施設をLNG輸出施設に転換するもので、現在、自由貿易協定(FTA)非締結国に対するLNG輸出許可に関するエネルギー省による審査が行われている(注、2025年5月23日記事参照)。エナジー・トランスファーは2025年第3四半期(7~9月)後半、または第4四半期(10~12月)前半にFIDを行うことを目標としている。

エナジー・トランスファーは2025年4月、エネルギーやインフラ分野の大手機関投資家のEIG(本社:首都ワシントン)傘下のLNG企業ミッドオーシャン・エナジーとの間で、ミッドオーシャン・エナジーが建設費の30%を提供し、LNG生産量(年間約500万トン)の30%を受け取る基本合意書(HOA)を締結外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また、エナジー・トランスファーは最近、国際的なエネルギー企業との間で年間100万トンのLNGのSPA、ドイツのエネルギー企業との間で年間100万トンのHOAを締結したことを明らかにしている(いずれも企業名は非公表)。

(注)米国では、天然ガス法(NGA)の下、LNG輸出には「公共の利益」が必要とされる。米国がFTAを締結している国への輸出は公共の利益があるとみなされるが、FTA非締結国に対しては、エネルギー省などによる審査が行われる。

(深石晃)

(米国、日本)